今回の対局場は佐世保市のホテル万松楼。佐世保市と言えば、小学生時代のほとんどを過ごした思い出深い街だ。今回も同じ佐世保出身のFさんが「ではついでに里帰りする」ということで一緒に行ってきた(島根での王将戦も「では出雲大社に行くついでに」と同行してくれた)。

 車で唐津〜伊万里経由で佐世保へ。国見トンネルが通行止めだったため、ギリギリ17:55に到着。万松楼への道は狭くて勾配が急な佐世保らしい道だった。

 会場は今までの前夜祭の中では小さめ。入り口では深浦王位、広瀬六段が既に待機しており、我々が会場に入ってすぐに入場してきた。
 すでに入場していた立会の加藤九段、先崎九段、理事の中川八段、大判解説聞き手の石橋女流四段らが壇上に。その後来賓の挨拶、乾杯とさくさく進んだ。

 その後は歓談タイム。通常ならば棋士の皆さんへ人々が殺到するはずだが、この日は誰も棋士の皆さんのところへ行く気配がない。禁止されているわけでもないのに。見た感じ、
県外から参加したのは推定我々ぐらい。もしや佐世保の皆さんは前夜祭に慣れていないのだろうか。かくいう私も羽生先生がいないので、今回はそこまで鼻息は荒くなく出足が鈍い。
 手持ちぶさただったのか、深浦王位は関係者に挨拶回りに行った。ぼーっとしているのももったいないので、一人棋士の皆さんのテーブルへ近づいていった。まずは週刊文春のコラムを書いている先崎八段。
 文春読んでますというお話と、前日の8/8が仲の良かった村山九段の命日というお話をしたら、しみじみとしていました。いただいた揮毫には…「初王手 目のくすり」。

 お次は中川八段のところへ。実は今回一番楽しみにしていたのは中川八段とのお話だ。中川先生はごらんの通りダンディーなだけではなく、ネット上では色々と話題になったお方だ。
 一つはなんと言ってもNHK杯戦での対羽生戦の頓死。これは解説が加藤先生のリアクションで話題になり、ニコニコ動画で驚くべき再生数を記録した。
 もう一つは「ご主人様王手です」という将棋紹介番組。棒読みコントが何とも言えない。
 その将棋コントについて先生が企画したのかとお聞きしたところ、当然ながらちがうとのこと。台本渡されて棒読みになってしまい、撮り直しもなかったとのことだ。けど、NGシーンが放送されていたけどなぁ。残念ながら、続編の予定はないらしいが、プッシュしておいた。物腰の柔らかいしぶい紳士という印象。

 次は石橋女流四段。清水市代女流王将のお弟子さんで、師匠の女流王位を奪ったこともある女流トップ棋士だ。達筆でも有名だが、今回は写真のみ。
 「倉敷藤花戦が佳境ですね」と激励したところ、石橋先生はすでに敗退したらしい。迂闊だった…。かわりにマイナビの応援をしておいた。女流王位戦は福岡でよくやるので、そのときは応援に駆けつけますとお話ししました。挑戦が決まったら本当に行かないといけないな。

 さらに挑戦者の広瀬六段。通常、前夜祭で対局者への揮毫は禁止されているのだが、ここでは深浦、広瀬両対局者が気軽に応じている。佐世保という土地柄なのか、人数が少ないから許可しているのか。
 ということで、私もちゃっかり揮毫をお願いした。広瀬六段は確実に複数のタイトルを獲ると言われている若手実力者なので、「六段」の揮毫は後々貴重になるかもしれない。少々緊張気味でしたが、感じのいいお兄ちゃんでした。

 加藤九段とは、熊本での名人戦福岡での名人戦に続き三回目になる。そのことをお話ししたけど、覚えている様子は全くない(笑)。猫裁判が一段落したこともあったか、常ににこにこしていたのが印象的だった。
 さて深浦王位。私のことを覚えてくれていて、このまえの名人戦前夜祭で「佐世保に応援に行きます!」と宣言したので、お話しするのが楽しみ、だった。
 しかし、なんと1時間しかたっていないのに、両対局者は早くも退場…。直接お話しするチャンスを逃してしまったのだ。まぁ、何度か目が合っていたから、来たことは認識してくれているはず、と思いたい。
 その後も歓談タイムが続いたが、棋士の皆さんがまだ残っているのに、だれも近づいていかない…。こんな前夜祭は初めてだ。羽生先生がいないからではなさそうだ。
 その後約15分行われた戦型予想は、加藤九段の独壇場。加藤九段13分30秒、先崎八段1分、中川八段30秒といった感じか。
 前夜祭は1時間半で終了。今までの前夜祭で最短ではないだろうか。対局者が早々と退場したのもあり、加藤先生のお話がなければ消化不良になるところだった。

 その日はさらに佐世保の街に繰り出し、米兵がよく集まるというバーに行き、Fさんの実家に駐めていただいた。
 翌日は少し佐世保市街に立ち寄り、蜂の家のカレーとシュークリームを買いに行った。
 左が軍艦シュー(mini)、右が普通の軍艦シューだろう。もちろんこんなもの食べたらおかしくなりそうなので、普通のシュークリームを買って帰宅後に食べた。これでもかなりのサイズだ。

 他には玉屋でサンドイッチ。Fさんから話に聞いていたが、いざみてみると見覚えがあった。小さい頃に食べたことがあるのだろう。
 これで600円。ただ、たしかにうまい。
 右の写真はおまけで、途中見つけたジャパネットたかた本社。たかた氏は佐世保出身、親のカメラ屋を継ぎ、ここまで大きくした。本社ビルはもともとカメラ屋があった場所だという。


 

大友家の家紋。